概要
1.履修プログラム
開設する履修コースは次の3つである
【地域政策コース】
現在、地方分権化と地域の構造改革に伴い、地域社会は、地域産業の構造的改革、地域の活性化、市町村合併、情報公開など、極めて多角的かつ複雑な問題に直面している。このような中で、自治体職員や民間企業のビジネスマンには、総合的な見地から的確な判断を下し、それを実行する能力、プロジェクトを企画・管理する能力が求められている。こうした能力を養うために、地域自治政策・地域資源政策、地域情報、地方財政、農村経営、心理学等に関する科目を履修することで、地域の政治・経済・財政・経営に関する理解を深め、経済・経営感覚を養う。
【文化政策コース】
社会の変化に対応し、地域の人々の多様な価値観を尊重しながら、NGO・NPO活動、地域のニュース配信・発信、文化政策、教育政策、文化イベントの立案・実行を行えるリーダーの育成を目指して、地域文化についての深い知識とそれを地域経営という側面から見る視点、経済・経営に関する知識、情報機器・情報政策に関する専門的知識、生命倫理・法倫理の問題等に関する知識を養う。
【島嶼政策コース】
島嶼地域は、豊かな自然や文化的資源に恵まれている一方で、過疎化、高齢化、産業の衰退、自然環境の保護など、とりわけ現代の地方社会が抱える様々な問題が集約的かつ顕著に表れる地域である。しかし、そうした諸問題への解決策の糸口もまた同時に見出せるのが島嶼地域である。ゆえに、島嶼でのフィールドワークを通してこれらの諸問題を探求するとともに、独自の解決策を学問的に構築し対処できる研究者・専門家が求められている。そのため、本コースでは、島嶼地域の産業・経営、情報・社会、言語・文化、自然・環境等に関する深い専門知識を養い、問題解決のためのプロジェクトを企画・立案できる能力を育成する。
2.人文社会科学研究科地域政策科学専攻の特色
【プロジェクト研究】
現実社会の切実な問題に対応し、地域の声を反映したプロジェクト・テーマを設定し、プロジェクト研究を履修する。学生は、具体的なプロジェクトに参加する中で、地域の諸問題についての解決方法を学修し、年1回の公開報告会を行い、それぞれの研究成果を発表する。
【プロジェクトの研究テーマ】
本研究科が行ったプロジェクト研究テーマには、以下のようなものがある。
「市町村合併と住民意識」
「鹿児島が育んだ国際化活動の先駆け」
「農業とグリーン・ツーリズム」
「生活スタイルから見た遠隔地の交通体系」
「地域の人々と観光とのかかわり」
「グローカル時代の災害対策」
「地域 多様性 エンパワーメント」
「コミュニティと文化の再構築」
「受容・共生・地域学」
「差異から「世界」を見る」
「越境する知-中国から日本へ、日本から中国を」
「転換は変容になるか-過去・現在・未来と国家・民間・個人-」
「社会と文化におけるネットワーク-フォーマルとインフォーマルの狭間で-」
「地への愛-時間と空間を超えた対話を通じて-」
「苦境の時代を乗り越える-地域社会における人々の営みをめぐって-」
「環境・災禍と人間-地域内外の視点から見る良い暮らしの創造-」
「地域に眠る宝を活かして-「弧・個」の歩みから「共」につながる社会へ-」
「グローカル時代の現実と虚構-未来への道しるべを探して-」
地域政策科学専攻の教育方針
1.地域政策科学専攻(博士後期課程)の教育目標
地域政策科学専攻は、自立して研究活動を行うに足りる研究能力及び高度の専門性が求められる社会の多様な方面で活躍し得る高度の研究能力とその基礎となる豊かな学識を有する人材の養成を教育目標にしている。
また、地域の抱える社会的、文化的問題を自ら発見し、解決する能力を備え、既存の学問の枠組みを超えた広い視野からこれらの問題に取り組み解決する能力を有する人材の養成を教育目標にしている。
2.地域政策科学専攻の入学者受入方針(アドミッション・ポリシー)
①地域政策科学専攻の求める人材像
1)人文社会科学の基礎的教養を習得している人
2)専攻する学問分野についての体系的な知識を習得している人
3)地域社会が抱える諸問題に関心を持ち、その解決と地域社会の活性化のために高度な専門知識を身につけたい人
②入学前に身につけておいて欲しいこと
1)人文社会科学の各専門分野における基礎的な教養や論理展開力
2)専攻する学問分野についての体系的な知識
3)地域の諸問題に関心を持ち、それぞれの研究分野の立場から問題を発見する能力
4)それぞれの研究分野における調査・研究能力
5)外国人留学生においては、論理的かつ的確に表現することができる日本語能力
③入学者選抜の基本方針
Ⅰ期入試では、一般選抜、外国人留学生特別選抜、社会人特別選抜を実施し、Ⅱ期入試では一般選抜、外国人留学生特別選抜、社会人特別選抜、進学者選考を行う。また、別途、指定校推薦入試(10月入学)により外国人留学生特別選抜を行う。
1)一般選抜、社会人特別選抜、進学者選考
学力検査(論文審査・小論文の筆記試験)、口述試験、及び学業成績証明書等の書類に基づき、これらを総合して選抜する。
2)Ⅰ期・Ⅱ期の外国人留学生特別選抜
学力検査(論文審査・日本語の筆記試験)、口述試験、及び学業成績証明書等の書類に基づき、これらを総合して選抜する。
3)指定校推薦入試
面接と学業証明書等を総合して判断する。
3.地域政策科学専攻のカリキュラム・ポリシー(教育課程の編成・実施方針)
1)地域経営・地域政策的視点を身につけたリーダー、地域文化の中核的な担い手や島嶼地域の諸問題に対処できる人材を養成するための必修科目を開設する。
2)地域の諸問題についての解決方法を学修するための「プロジェクト型」授業科目を開設し、研究成果の発表の場として、年1回の公開報告会を開催する。
3)職業を有する社会人を積極的に受け入れるために、夜間主大学院の制度を取る。
4)学位請求論文の質的向上をはかるために、指導教員を中心とした複数指導体制を取る。
4.地域政策科学専攻のディプロマ・ポリシー(学位授与方針)
1)研究者として自立して研究活動を行うに足る研究能力及びその基礎となる豊かな学識を身につけている。
2)専門家として地域の抱える社会的・文化的問題を発見し、解決する能力及び既存の学問分野の枠組みを超えた広い視野からこれらの問題に取り組み解決する能力を身につけている。
カリキュラム
共通・コース | 必修科目 | 選択必修 | 授業科目名 | 単位 |
共通 | ◎ | 特別研究Ⅰ | 2 | |
◎ | 特別研究Ⅱ | 2 | ||
◎ | プロジェクト研究Ⅰ | 2 | ||
◎ | プロジェクト研究Ⅱ | 2 | ||
地域政策 | ● | 経営財務論 | 2 | |
● | 地域経済論 | 2 | ||
● | 経済政策論 | 2 | ||
● | 国際経済論 | 2 | ||
● | 地域情報論 | 2 | ||
● | 組織の経済学 | 2 | ||
● | 環境経済論 | 2 | ||
● | 地域支援システム構築論 | 2 | ||
● | 現代地域社会論 | 2 | ||
● | 地域社会関係論 | 2 | ||
● | 海運の法システム | 2 | ||
● | 法動態学 | 2 | ||
● | 国際関係論 | 2 | ||
● | 地域政治論 | 2 | ||
● | ジェンダー論 | 2 | ||
● | 比較農業経営論 | 2 | ||
● | 地域心理援助論 | 2 | ||
● | 社会行動論 | 2 | ||
● | 人間行動学 | 2 | ||
● | 行動神経科学 | 2 | ||
● | 地域政策特論 | 2 | ||
文化政策 | ○ | 応用倫理学 | 2 | |
○ | 考古資源論 | 2 | ||
○ | 物質文化論 | 2 | ||
○ | 日本社会史 | 2 | ||
○ | 社会言語学 | 2 | ||
○ | 書籍文化論 | 2 | ||
○ | 地域言語文化史 | 2 | ||
○ | 日本書誌学 | 2 | ||
○ | 東アジア言語文化論 | 2 | ||
○ | 東アジア比較社会論 | 2 | ||
○ | 東アジア比較文化論 | 2 | ||
○ | 多文化社会史 | 2 | ||
○ | ヨーロッパ社会史 | 2 | ||
○ | ヨーロッパ現代文学論 | 2 | ||
○ | ヨーロッパ近代文学論 | 2 | ||
○ | ヨーロッパ・アメリカ比較文化論 | 2 | ||
○ | 比較音楽文化論 | 2 | ||
○ | 多言語文化論 | 2 | ||
○ | 文化テクスト論 | 2 | ||
○ | 社会人類学 | 2 | ||
○ | 内陸アジア比較社会論 | 2 | ||
○ | 比較宗教論 | 2 | ||
○ | 文化政策特論 | 2 | ||
島嶼政策 | △ | 島の先史学 | 2 | |
△ | 島嶼経営論 | 2 | ||
△ | 島嶼産業論 | 2 | ||
△ | 島嶼経済論 | 2 | ||
△ | 島嶼人類学 | 2 | ||
△ | 島嶼信念システム論 | 2 | ||
△ | 島嶼社会論 | 2 | ||
△ | 島嶼自然論 | 2 | ||
△ | 島嶼家族社会論 | 2 | ||
△ | 島嶼政策特論 | 2 | ||
備考:◎ 必修、●○△ 選択必修 | ||||
所属コース以外の選択必修科目から1科目以上を選択すること。ただし、選択した選択必修科目をプロジェクト支援科目で振り替えてもよい。 |
コース教員一覧
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学位授与について
博士課程を修了した者に対して、「博士(学術)」の学位を授与する。修了には、本課程に原則として3年以上在籍し、14単位以上を修得し、かつ必要な研究指導を受けた上、博士論文の審査及び最終試験に合格することが必要である。
学位論文審査申請について
〈本審査〉
〈予備審査〉