概要
1.教育目的
近年の世界的な経済変動は我が国にも大きな影響を及ぼしているが、南九州は地理的に大都市経済圏から離れたところに位置していることから、産業基盤の脆弱さ、情報化のギャップ、過疎化、高齢化の地域問題が顕在化するとともに、アジア諸国との地理的歴史的緊密さに基づいた経済協力の推進も重要な課題となっている。これらの事態の打開策が地域社会では種々模索されている。このような地域にかかわる経済的・社会的課題や国際協力に的確に対応するためには、経済社会の構造把握と分析手法の修得、経済政策に対する立案能力や国際経済・国際開発に対する国際的視野の涵養、変動する地域企業や地域社会の動向への対応能力の育成が必要であり、そのために必要な人材を養成することをめざしている。
2.教育研究内容
本専攻の教育研究分野は大きく二つにわかれている。一つは、地域経済や地域社会の問題を総合的な視点から、より高度の専門性をもたせて教育研究するために、経済理論、経済史、統計学、社会学をベースとして地域の問題に取り組む能力を養成する経済社会分野であり、もう一つが、地域の企業や自治体の現状分析とそれに基づく活性化策の立案能力や国際協力のあり方に関する政策能力の育成を目標とする地域経営分野である。
指導教員による研究指導のもとで、学生はこれらの二つの分野から必要な科目を選択することにより、充実した研究に従事することができる。
(1)経済社会分野
経済学や社会学の理論や歴史、また統計学や計量分析の手法を駆使して、経済社会の変化のメカニズムを理論的、実証的に分析する能力を育成し、それをもとに将来に向けての政策提言を行える能力を涵養することを目標とする。ミクロ経済学、日本経済史、経済統計論、現代社会論、情報社会論、福祉社会学、社会教育思想論、青少年文化・社会論などを主な研究内容とする。
(2)地域経営分野
情報化、高齢化、地方分権化等が進展するなかで地域企業や地域社会の現状分析とそれに基づく政策立案能力を涵養し、さらに経済の国際化、開発と環境保全の調和を与件として、南九州とアジア諸国の地域振興と国際協力のあり方に関する政策能力の育成を目標とする。農業政策論、租税政策論、国際経済システム論、国際貿易投資論、国際開発経済論、アジア経済、経営管理論、コーポレート・ファイナンス、国際経営論、財務会計論、管理会計論、経営情報論、技術経営論などを主な研究内容とする。
教育の目標及び方針
1.経済社会システム専攻(博士前期課程)の教育目標
経済社会システム専攻は、経済・経営・社会という幅広い3つの分野の高度な教育を行い、最新の知識および理論的なフレームワークを習得した社会及び地域に貢献できる人材の養成を教育目標にしている。
2.経済社会システム専攻の入学者受入方針(アドミッション・ポリシー)
①経済社会システム専攻の求める人材像
1)専門的な知識をさらに発展させ、地域や国際社会に貢献しようとしている人
2)社会人としての経験を踏まえた知識の体系化及び問題解決を目指す人
3)大学院修了後、地域や国際社会などで貢献することを目指す人
②入学前に身につけておいて欲しいこと
経済・経営・社会のいずれかの分野の基礎的教養及び体系的な知識の習得
③入学者選抜の基本方針
専門研究を行っていくための適性や能力を総合的に判断するため、次の方法で入学者選抜を行う。
1)一般選抜
学力検査及び面接の結果を総合して選抜する。学業成績証明書等の書類は面接の参考資料とする。
2)社会人特別選抜
学力検査及び面接の結果を総合して選抜する。学業成績証明書等の書類は面接の参考資料とする。
3)外国人留学生特別選抜
(1)学力検査及び面接の結果を総合して選抜する。学業成績証明書等の書類は面接の参考資料とする。
(2)指定校推薦入試は、面接の結果、成績証明書及び研究計画書などの審査結果を総合して選抜する。
3.経済社会システムのカリキュラム・ポリシー(教育課程の編成・実施方針)
1)本専攻のもつ広い専門分野を反映し、学際的分野も研究できる演習・講義等を開設する。
2)社会人学生には、修士論文による教育コースには社会人特別講義を開設し、その拡充をはかる。修士論文によらない教育コースではケーススタディ研究の質を高める。
3)国際化に対応できるプロジェクト研究を拡充する。
4)「研究指導」科目を平成26年度から設置し、論文指導のみならず、受講指導を含めた指導教員・副指導教員による複数教員による開設科目とする。
4.経済社会システム専攻のディプロマ・ポリシー(学位授与方針)
1)高度な専門的な知識をもとに経済・社会を体系的に分析できる能力を習得している。
2)明確な問題意識を発見する能力を有している。
3)実証分析のために、的確なフィールドワークやリサーチワークができる能力、または、社会科学の諸理論を応用し、発展できる能力を備えている。
4)研究で得られた知見により、地域社会ならびに、国際社会にも貢献することを証明できる。
カリキュラム
選抜方法 | 学位論文 | 修了要件単位 |
一般選抜 外国人留学生特別選抜 |
修士論文によって学位を取得 | 研究指導(合計8単位)を含む30単位以上 |
社会人特別選抜* | 修士論文によって学位を取得 | 研究指導(合計8単位)及び特別講義(2単位)を含む30単位以上 |
修士論文に代わる研究成果(プロジェクト研究)によって学位を取得 | リサーチメソッド(2単位)、テーマサーベイ(2単位)、プロジェクト研究Ⅰ(2単位)、プロジェクト研究Ⅱ(4単位)を含む30単位以上 |
*社会人特別選抜の学生は、入学後、修士論文によって学位を取得するか修士論文に代わる研究成果(プロジェクト研究)によって学位を取得するか選択する。
授業科目 | 単位 | 授業科目 | 単位 | 授業科目 | 単位 |
ミクロ経済学特論 | 2 | アジア経済特論 | 2 | 青少年・文化社会論演習 | 2 |
ミクロ経済学演習 | 2 | アジア経済演習 | 2 | 比較教育社会史特論 | 2 |
計量経済学特論 | 2 | 経営管理論特論 | 2 | 比較教育社会史演習 | 2 |
経済統計論特論 | 2 | 経営管理論演習 | 2 | 共生社会の学習論特論 | 2 |
経済統計論演習 | 2 | コーポレート・ファイナンス特論 | 2 | 共生社会の学習論演習 | 2 |
世界経済史特論 | 2 | コーポレート・ファイナンス演習 | 2 | 教育社会学特論 | 2 |
世界経済史演習 | 2 | 国際経営論特論 | 2 | 教育社会学演習 | 2 |
日本経済史特論 | 2 | 国際経営論演習 | 2 | 技術経営特論 | 2 |
日本経済史演習 | 2 | 管理会計論特論 | 2 | 技術経営演習 | 2 |
日本経営史特論 | 2 | 管理会計論演習 | 2 | 福祉社会学特論 | 2 |
農業政策論特論 | 2 | 財務会計論特論 | 2 | 福祉社会学演習 | 2 |
農業政策論演習 | 2 | 財務会計論演習 | 2 | 研究指導 | 2 |
租税政策論特論 | 2 | 現代社会論特論 | 2 | 特別講義 | 2 |
租税政策論演習 | 2 | 現代社会論演習 | 2 | 総合講義 | 2 |
租税政実務特論 | 2 | 情報社会論特論 | 2 | 行政及び企業等実務実習 | 1 |
国際貿易投資論特論 | 2 | 情報社会論演習 | 2 | リサーチメソッド | 2 |
国際貿易投資論演習 | 2 | 社会教育思想論特論 | 2 | テーマサーベイ | 2 |
国際開発経済論特論 | 2 | 社会教育思想論演習 | 2 | プロジェクト研究Ⅰ | 2 |
国際開発経済論演習 | 2 | 青少年・文化社会論特論 | 2 | プロジェクト研究Ⅱ | 4 |
授業担当教員一覧
学位・免許情報・税理士試験の科目免除
学位
所定の単位(30単位以上)を習得し、かつ修士論文またはプロジェクト研究の審査および最終試験に合格した者には「修士(経済学)」または「修士(社会学)」の学位が授与される。
教員免許
既に、中学校教諭一種免許状(社会)ないし高等学校教諭一種免許状(公民・商業)を有している者は、本専攻において所定の単位を修得すれば、中学校教諭専修免許状(社会)、高等学校教諭専修免許状(公民・商業)を取得することができる。
税理士試験の科目免除
税法(租税政策論)および会計(財務会計論)に関する修士論文により、税理士試験の受験免除科目を申請することができます。
進路情報
本専攻の修了者は、公務員や教員のほか、証券、情報通信、医療(事務)等の民間企業に就職しています。また、博士号取得を目指し博士後期課程へ進学する者もいるなど、修了後の進路は様々な分野にわたっています。